症例のご紹介

2013年6月 4日 火曜日

会陰ヘルニア整復手術

先日行なった未去勢雄に多い会陰ヘルニア整復手術のご報告です。
会陰ヘルニアは去勢をしていない中高齢の雄犬に多く発生する疾患で、雌犬や猫で発生する事はあまりありません。「ヘルニア」という名称から、よく椎間板ヘルニアと混同される方がおられますが、会陰ヘルニアはお尻の筋肉が緩んでウンチが出にくくなる病気です。ひどい場合は前立腺や膀胱までヘルニア部に脱出して排尿困難になる事もあるため、早急な手術が必要です。
予防には、若いうちに去勢手術をするのが最善で、特によく吠えて腹圧がかかる場合には強くお勧めしています。

今回の症例はM.ダックスフンドですが、ダックスやコーギーなどに発生すると再発率が高いという報告もあります。様々な術式が報告されていますが、この術式が絶対という方法はありません。

今回のケースは排便困難や血便を主訴に来院しました。便はまだ自分ででも少しずつできているとの事でした。写真のように、右の会陰部が腫大し、液体貯留が見られました。直腸検査にて、右会陰ヘルニアを触診、左は少し弛みがあるもののまだひどい状況ではありませんでした。
もともとの病変である右側会陰ヘルニアの整復手術を行ない、将来的な予防も含めて去勢手術や左側も同時に手術しました。
 

術後すぐは少し痛々しい状況ですが、
経過は順調でスムーズに排便ができるようになりました。
再発にはこれからも要注意ですが、
このまま無事に過ごしてくれればと思います。


このような病気の予防のためにも、
交配する予定のない雄犬は是非若いうちに去勢手術をお考え下さい。



投稿者 西京極どうぶつ病院