症例のご紹介

2013年6月30日 日曜日

線維肉腫の猫の症例発表

は京都市内の先生方達との勉強会で「線維肉腫の猫の症例発表」を行いました。
肩甲背部皮下にできた腫瘤が悪性度の高い線維肉腫だったため、広範囲に切除し、レーザー治療なども駆使したケースです。色々と苦労もありましたが、今のところ順調な経過です。
悪性腫瘍の摘出はなるべく広く周囲組織を切除し、深部方向についても筋層までガッチリ切除する事で完全切除が期待できます。痛々しい術中写真ですが、これくらい取らないと完全切除になりません。
でも、あまりたくさん切除しすぎると皮膚がよらなくなったり、前足の動きに障害が出てしまうので注意が必要です。。。

この部位の腫瘍はワクチンとの関連で生じる事もありますが、今回のケースはワクチン誘発性なのか自然発生なのかよくわかっていません。




腫瘍と闘うには、早期診断・早期治療が原則なので、おかしな「しこり」を見つけたらなるべく早めに動物病院にご来院下さい。

投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL

2013年6月25日 火曜日

犬の乳腺腫瘍

最近、手術を行なった犬の乳腺腫瘍の中で、対照的な病態があったのでご紹介します。

1例はすごく初期に発見されたまだごく小さい限局性の乳腺腫瘍。
高齢であった事やすでに避妊手術を行われていた事もあり、局所麻酔のみで半導体レーザーを用いての手術で済ませました。周囲組織との固着も少なく、摘出は容易でした。
 

もう1例はかなり進行して表面が自壊してきた乳腺腫瘍。
もともとアレルギー性皮膚炎もあるため、かなり厳しいコンディションの中での手術となりました。
手術は何とか無事に終わりましたが、術後に少し傷口がジクジクしたり、病理組織検査結果も壊死がひどくて確定が難しいとの事。。。経過が要注意のケースです。


 



乳腺腫瘍は犬で本当に多い腫瘍で、2回目の発情がくるまでに避妊手術を行なう事で発生率がかなり下がるとされています。このような不幸な病気を減らすためにも、若いうちに避妊手術を行うというのが最善の方法だと思います。
また、もし様々な事情で避妊手術ができない場合、こまめに乳腺部の触診を行い(ご自宅で)、しこりを発見したら早期に動物病院に連れて行く事をお勧めします!!!

投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL

2013年6月 4日 火曜日

会陰ヘルニア整復手術

先日行なった未去勢雄に多い会陰ヘルニア整復手術のご報告です。
会陰ヘルニアは去勢をしていない中高齢の雄犬に多く発生する疾患で、雌犬や猫で発生する事はあまりありません。「ヘルニア」という名称から、よく椎間板ヘルニアと混同される方がおられますが、会陰ヘルニアはお尻の筋肉が緩んでウンチが出にくくなる病気です。ひどい場合は前立腺や膀胱までヘルニア部に脱出して排尿困難になる事もあるため、早急な手術が必要です。
予防には、若いうちに去勢手術をするのが最善で、特によく吠えて腹圧がかかる場合には強くお勧めしています。

今回の症例はM.ダックスフンドですが、ダックスやコーギーなどに発生すると再発率が高いという報告もあります。様々な術式が報告されていますが、この術式が絶対という方法はありません。

今回のケースは排便困難や血便を主訴に来院しました。便はまだ自分ででも少しずつできているとの事でした。写真のように、右の会陰部が腫大し、液体貯留が見られました。直腸検査にて、右会陰ヘルニアを触診、左は少し弛みがあるもののまだひどい状況ではありませんでした。
もともとの病変である右側会陰ヘルニアの整復手術を行ない、将来的な予防も含めて去勢手術や左側も同時に手術しました。
 

術後すぐは少し痛々しい状況ですが、
経過は順調でスムーズに排便ができるようになりました。
再発にはこれからも要注意ですが、
このまま無事に過ごしてくれればと思います。


このような病気の予防のためにも、
交配する予定のない雄犬は是非若いうちに去勢手術をお考え下さい。

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