症例のご紹介

2013年1月31日 木曜日

ウサギの避妊手術

今日の予定手術は
「ウサギの避妊手術」でした。
イヌ・ネコ同様に、ウサギも若いうちに避妊手術を受ける事をお勧めしています。

その理由は、子宮水腫や子宮癌のような子宮疾患、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍などが本当に多いためです。これらの疾患はご家族が発見しにくいのか、病状がかなり進行して具合が悪くなってから来院される事が多い気がします。
手術を実施するベストのタイミングは6ヵ月から1歳までの間ですが、1歳を過ぎてからでも麻酔に耐えられる状況であれば手術を行なう事は可能です。

手術は無事終り、元気に動き回れる状況まで改善しています。
ウサギの卵巣や子宮まわりの血管や脂肪は大変もろいため、手術には血管シーリングシステムのサージレックスが活躍してくれます。吸収糸で結紮するよりも早く確実に血管の処理ができ、異物反応も起こりにくいのが特徴です。

午前中に、帝王切開になるか!?っていうパピヨンも来ましたが、助産処置により無事に自然分娩してくれました。生まれたての子犬は本当に可愛いなぁ〜って思いました!!!

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2013年1月25日 金曜日

胃内異物を内視鏡で摘出。

先日、また内視鏡にて胃内異物を摘出しました。

症例は7歳のフレンチブルドックで、10日前に化粧品をかじっていたとのことでした。
アルミの外蓋とプラスチックの中蓋が見つからないとのことで、その後、空腹時に何度か吐いているが何も出てこない。今朝、かかりつけの先生のところに行ったところ、レントゲンにて異物を発見。
内視鏡による摘出を希望して紹介来院されました。


異物は幽門洞まで入っていましたが、バスケット鉗子にて無事摘出。開腹せずに済みました。。。




摘出後に胃内を観察したところ、やはり軽い胃粘膜の障害が起こっていました。

いずれ自分で吐き出せると思って様子を見ておられたのだろうと思いますが、ワンちゃんにとっては痛く苦しい日々だったようです。。。

異物の誤食には、
くれぐれも気をつけましょう!!!

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2013年1月14日 月曜日

麻酔外科学会に参加してきました。

今回は病気のお話ではありませんが、外科に少しまつわるという部分でこちらに書かせていただきます。

この週末、福岡国際会議場で行なわれた獣医麻酔外科学会と獣医循環器学会の2012年秋期合同学会に参加してきました。九州に行くのは本当に久しぶりだったので、ちょっとワクワクした気持ちもありました(笑)


今回は症例検討会を中心に聴講してきたのですが、閉塞性黄疸の犬に胆汁外瘻を設置した症例、絞扼性腸閉塞の症例、尿道閉塞に尿道ステントを設置した症例などなど、興味深い症例がたくさんありました。また、講演の方では、「関節液検査」についての詳しい話や気管虚脱を中心とした咳の話、尿路結石や皮弁形成などの外科を聞きました


雨の降る中の帰り道、新しくキレイになった博多駅がとても美しく感じられました。
九州に行く機会はなかなかないのですが、博多までなら新幹線で3時間以内という比較的気軽な距離なので、また行く事ができればと思います。



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2013年1月 6日 日曜日

膀胱腫瘍の症例

少し前の症例ですが、
犬(ビーグル)の膀胱腫瘍(移行上皮癌)の外科手術症例をご紹介します。


膀胱腫瘍は犬では稀にみられる悪性腫瘍で、頻尿や血尿などを主訴に来院される事が多いのですが、診断時には進行している事も多い厄介なものです。
外科治療のみでは根治できない事も多いので、放射線療法や化学療法(抗がん剤)なども併用していきます。
診断は臨床上に加え、尿検査、超音波検査、細胞診検査、病理組織検査などで行なっていきます。



右図が超音波検査で確認した膀胱粘膜に隆起した腫瘍で、下図が手術中に膀胱を切開して粘膜面を確認したところです。
 



外科手術によって切除した腫瘍の病理組織検査結果が悪性だったため、術後からカルボプラチンを用いた抗がん剤治療を開始しました。

その後、局所再発はしてしまいましたが、比較的長期にわたって良好な生活を過ごす事ができました。

完治は難しい病気ですが、できるだけの治療はしてあげたいですよね。
頻尿や血尿の原因の多くは膀胱炎や膀胱結石によるものですが、膀胱腫瘍にも注意が必要です!

定期的な尿検査や超音波検査を含むような健康診断で早期診断に努めてもらいたいと思います。

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