症例のご紹介

2013年2月15日 金曜日

精巣腫瘍による脱毛

先日行なった精巣腫瘍の手術について、報告致します。
精巣腫瘍は去勢手術をしていない中高齢の雄犬でしばしば見られる腫瘍で、精巣下降していない場合(潜在精巣、停留精巣、陰睾)では10〜20倍近く発生しやすいと言われています。
予防には腫瘍化する前に去勢手術を行なうという事しかありません。

セルトリ細胞腫という精巣腫瘍の場合、女性ホルモンであるエストロジェンを過剰に分泌する事が多く、骨髄抑制による貧血や雌性化乳房、痒みをあまり伴わない脱毛などの症状が見られます。
セミノーマ(精細胞腫)は転移する可能もある悪性腫瘍で、摘出して半年以上経ってから転移巣が見つかる事もあります。
ライディッヒ間細胞腫は比較的良性な腫瘍です。

今回のケースは脱毛や元気・食欲低下を主訴に来院。腫大した精巣は反対側の倍以上に膨らみ、触ると少し痛がる症状もありました。高齢のため心機能も少し低下していましたが、術前検査の結果、手術には十分耐えられる状況と判断しました。

写真は摘出した左右精巣で、
腫瘍化した精巣は総鞘膜に包まれたままの状況で摘出しています。



高齢になって、このような病気でリスクのある手術をするよりも、若くて健康なうちに去勢手術を行なう事をお勧めします。

投稿者 西京極どうぶつ病院